大谷大学 文化環境ゼミ 2回生 2017年度後期
京都のちょっとおもしろいとこ ~伝統工芸を訪ねて~
西本願寺
西本願寺は京都駅からほど近い場所にあり、15分ほど歩くと見えてきます。
親鸞聖人を宗祖としており、西本願寺敷地内にある御影堂内には、
親鸞聖人の像が安置されています。
下の写真は御影堂です。
南北62m東西48m高さ29mの大建造物で国宝に指定されています。
1633年の焼失から1636年に建立され、現代まで御影堂は今の地にあります。
そして、1998年から破損した部分の修復が10年にわたり行われました。
これを「平成の大修復」と呼びます。
↓ 御影堂の南側に行くと平成の瓦と江戸の瓦が混在している様子が見られます。
平成の大修復によって約11万5000枚もの瓦は屋根から降ろされ、
大部分は新しい瓦に置き換えられましたが、技術保護の観点から南側の一部には
江戸の瓦が残されています。
南側の屋根は他の方角の屋根と工法も異なっています。
江戸時代に作られた御影堂には土によって瓦を固定する「土葺き工法」が使われていましたが、土を使うため屋根の重量が重くなってしまいます。
平成の大修復では土を使わない「空葺き工法」が使われ、
屋根の重量を減らすことに成功しました。
↓ 大屋根を支えるのに数多くの軒支柱があります。(下の写真)
軒支柱の数は御影堂だけで33本あり、正面だけでなく南北も支えることにより
軒先が瓦の重みで垂れることを防ぎます。
さらに150本にも及ぶ梁や227本に及ぶ柱によって支えられます。
梁には模様が施されておりこのようなものを「虹梁」と呼びます。(下の写真)
御影堂の雨水を貯める水盆のしたには小さな「天邪鬼」がいます。(下の写真)
2つの天水受けを支えており、計8人います。
一体一体の表情や形が違っており、見てみるのも楽しいかもしれません。
御影堂が再建された1636年からずっと支え続けています。
下の写真は柱の束柱を受けるための「沓石」とよばれるものです。
木の隙間から覗くと石が見えます。
もともとはザクロの木で沓石が作られていましたが、江戸時代末期に
木では腐る可能性があるということで石が用いられました。
その時、昔の面影を残そうと厚さ3cmの木で覆ったと言われます。
御影堂は平成の技術と江戸時代の昔の技術でうまく調和が取れた
建物だといえるでしょう。
御影堂の内部にも出来るだけ昔の面影を残すために昔ながらの技法を使って
修復された部分が数多く見えます。
渉成苑
渉成園は真宗東本願寺の飛地境内地です。渉成園は、昔枳殻(からたち)が植えてあったことから枳殻邸(きこくてい)とも呼ばれています。国の名勝にも指定されており、四季を感じることができる庭園です。
↓ 門を入ってすぐのところに高石垣という石垣がありました。
花崗岩と砂岩とチャートと緑色岩からできていました。
↓ そして石臼が石垣に埋め込まれていました。
とても珍しい光景で面白かったです。
↓ これは臨池亭と滴翠軒いう建物です。
手前が臨池亭で奥が滴翠軒です。
この二つの建物は廊下でつながっており、池に臨んで建てられています。
池にはたくさんの鯉が気持ちよさそうに泳いでいました。
下の写真は侵雪橋という端です。
木造の反橋で、渡ることができ感動しました。
橋の上から見渡す渉成園はとても広く、池に映る建物や空が輝いていてとても綺麗でした。
清水焼
京都の伝統工芸品、清水焼。普段あまりじっくりとみたり、歴史を深めることはないで
すがその世界をのぞき見てたくさんのことを知りました。2人の人間国宝がいること、
焼き方の技法、形…。今回何より”いいな”と思ったのは、清水焼は作品に特徴がなく作
者の手で自由に作られているものなので今も新しいものが生まれているということで
す。古きよきものから新しいもの、文化が受け継がれていくことは素敵なことだと思い
ました。
清水寺は坂ノ上田村麻呂によって平安京遷都以前に建てられた数少ない寺院です。さら
清水寺の門をくぐって進んでいくと大きい建物が見えます。それは三重塔です。三重塔
は日本にもいくつかありますがこの清水寺の三重塔は日本でも最大級の高さを誇る31
メートルで実際に見てみるとほんとに大きくびっくりしました。この三重塔は初層から
三層目まで各層の三隅には鬼瓦があったのですが南東の部分だけ龍になっていました。
下の写真の「龍」は火除けの神とされていることから防火の意味でつけられたそうです。
清水寺の清水の舞台は懸造りといった釘を一切使わない造りで建てられています。
これは山の急な斜面や段差のある土地に面積のある建物を建てる際に取る建築手法で
す。懸造りは他に上醍醐寺や東大寺の二月堂があります。この懸造りは木材を雨から
守るため2つ工夫をしています。
まず1つ目が小さな傘を取り付けているところです(下の写真)。
2つ目は舞台の床にほんのわずかにつけられた傾斜です(下の写真)。
これらの工夫を見ると、清水寺を少しでも建て直さないように職人がさまざまな工夫をしているんだなと感じました。
まとめ
京都で普通に観光しても気付かないことや初めて知るようなことがたくさんありました。京都には意外と実用的なものが多く、渉成園も客を招くという意味に関しては実用的なものでした。こうみてみると京都の伝統工芸というのは実用的なものが多いと感じました。今回調べていないところも実用的なものがあると思うので調べたいと思いました。